国会での議論

2017年4月20日

参議院厚生労働委員会 


○川田龍平君 今日はいろいろあって一般質問ということですが、是非よろしくお願いいたします。

 まず、この四月から拡大された戦没者遺骨のDNA鑑定について伺います。

 当委員会で何度も訴えてきたことですが、歯だけではなく手足の骨、四肢骨からもDNA鑑定を行うこととしたことは、一歩前進したということで大変評価をいたします。

 しかし、この十年間、集中取組期間ということで、今回の見直しではこの遺骨の遺族への返還がほとんど進まないのではないかとの声があることも、大臣、是非御理解いただきたいと思います。もう三年に入っています、十年期間のうちの三年に入っています。本当にこの動きが鈍いです。少し遅いです。今年も沖縄のみにしか、計画しかない。特に、アジア太平洋地域での戦没者の遺族は、このようなことが実施されていることすら知らない遺族がほとんどではないでしょうか。もちろん、一般の国民もほとんど知りません。三月三十一日の発表では、昨年の沖縄での身元確認はゼロ件です。

 抜本的な取組の見直しを求めたいと思うんですが、大臣、これは是非気を引き締めて答弁していただきたいと思います。

○国務大臣(塩崎恭久君) DNAの鑑定につきまして四肢骨を対象にするということは、この委員会でも本当に何度も取り上げられたことでありまして、今回そういう方向で一歩前進をさせていただいたと、こういうことでございますが、この戦没者の御遺骨のDNA鑑定につきましては、これまで遺留品や埋葬者名簿などの戦没者の身元を推定できる情報がある場合に限ってこれを行ってきたということでございました。これによって、本年三月末までに累計で一千八十四名の方の身元を特定をし、御遺骨を御遺族にお返ししたわけでございますが、これは平成十五年からのことでございまして、ペースとして遅過ぎるじゃないかという今御指摘もいただいたところでございます。

 一方で、こうした情報があるケースは極めて限られている。昨年度は沖縄四地域において、こうした情報がなくても、部隊記録などに残されている死亡場所の情報などから戦没者をある程度特定できる場合に、そして、厚生労働省からその御遺族に対して直接個別にDNA鑑定を呼びかける取組を試行的に実施をしてまいりましたけれども、今御指摘をいただきましたように、残念ながら御遺族の特定にまでは至らなかったということであります。

 こういうことで、今年度は、御遺族に対して厚生労働省の側から直接個別に呼びかけるだけではなくて、広報を広く通じて呼びかけるということで御遺族の側からのDNA鑑定の申請を募るということにいたしたわけでございまして、今ほとんどまだ伝わっていないんじゃないかという御指摘をいただいて、改めてこの広報についても更に拍車を掛けてまいりたいというふうに思います。

 これに併せて、関係団体や御遺族の御要望を踏まえて、対象地区も沖縄十地域まで六地域増やしたところでございます。こうした取組を進めて、できるだけ多くの方にDNA鑑定に御参加をいただいて、一柱でも多く御遺族の元に御遺骨をお返しできるように最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

○川田龍平君 大臣、今年度、これはゼロにはしないということでお約束いただいたということでよろしいですね。是非よろしくお願いいたします。

 今回、この沖縄の対象地域が四地域から十地域に拡大するということについても、私は不十分ではないかと考えます。とにかく検体の数が少な過ぎるんです。お隣の韓国では、十数万人の戦没者に対して三万件の御遺族から検体を集めて鑑定していますが、それでも最大の課題は検体の少なさだと言っています。呼びかけの範囲が狭過ぎます。沖縄の島内の戦没場所の記録に固執し過ぎて、沖縄戦の実相に合っていません。

 例えば、島尻地区で戦死ということであれば、第一次と第二次の両方の遺骨と照合すべきではないでしょうか。沖縄戦の死亡場所の記録が曖昧なのは、本当に厳しい戦場だったからです。この際、沖縄戦の実相を踏まえて鑑定しなければならないと思います。

 この際、呼びかけ対象を全体に広げるべきではないでしょうか。沖縄全域を対象として遺族の検体を飛躍的に増やすべきことについて伺いたいと思います。

○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。

 いわゆるDNA鑑定につきましては、血縁関係の存否を確率により推定するものでありますから、DNA鑑定結果のみならず、やはり関連する情報と合わせて総合的に判断する必要があると考えているところでございます。このため、先ほど大臣から申し上げましたとおり、これまでは、遺留品や埋葬者名簿等、戦没者の身元を推定する情報がある場合にDNA鑑定を行ってきたところでございます。

 一方で、こういうケースが非常に限定されるということでございまして、御要望を踏まえて、遺留品や埋葬者名簿以外の情報、先ほど大臣から申し上げました部隊記録、これ戦死の場所、先ほど先生がおっしゃったとおり、戦死の場所でございます。これは、エリアとしては大体、市の範囲の町ですとか字のエリア、そういうふうにお考えいただければよろしいんですが、そういうような形で、従来とは異なる身元の特定方法ということを今まさに沖縄の方で試行的に実施しているというところでございます。

 そういうことでございますので、DNA鑑定の対象を沖縄全土ということに拡大すると、そういう関係情報がない中で、例えば偶然の一致により血縁関係の識別の確からしさが同程度になる対象者が多く出現してしまうというリスク、結果として血縁関係を決定できないおそれがあるということがありますので、慎重な検討が必要であると考えております。

○川田龍平君 じゃ、これ確認ですが、では、十地域に限らず、沖縄戦で亡くなったとの証拠を持つ御遺族はどなたでもDNA鑑定に手が挙げることができるということですね。

○政府参考人(中井川誠君) 今回、広報という形で募集させていただくわけでございます。これ、先ほど先生がおっしゃったとおり、部隊記録以外、例えば現地の住民の方とかがたまたまその地域にいて戦災に巻き込まれるというような事態も想定するわけでございますので、まず、申請者の方からその申請を上げていただくときに、やはりそこの地域で亡くなったという何らかの根拠になるような、これ証言かもしれませんけれども、そういうものをいただいた上で、私どもの方でできるだけその関連情報を集めた上で対応してまいりたい、さよう考えております。

○川田龍平君 是非、それも広報していただきたいと思います。

 次に、歯から四肢骨に鑑定対象を拡大するに当たっては、個体性の確認できる場合に限るのではなく、集団収容で個体性のない遺骨であっても四肢骨のDNA鑑定の対象とすべきではないかと考えますが、このことについて伺いたいと思います。

 遺族お一人お一人にとって手足一本でも父であり家族であるという思いで、手足の骨の鑑定を実施することになったことは大いに評価したいと思います。しかし、この個体性の条件というのを外してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(中井川誠君) 四肢骨につきましては、今回、遺留品や埋葬者名簿の御遺骨の身元を推定する情報と併せて用いることにより、今回からDNAの対象として拡大することにしたのは御案内のとおりでございます。

 それで、今まで、御指摘の個体性という考え方につきましては、原則として頭蓋骨がある場合というふうに、個体性があるというふうにみなしておりまして、従来は歯でございましたので、当然その頭蓋骨に歯があるということで、それは個体性とDNA鑑定が一致していたという経緯があるわけでございます。

 今年度からDNA鑑定の対象を四肢骨まで拡大したということでございますので、個体性の在り方につきましては、改めてこれは再検討する必要がある課題であると認識しておりますので、今後検討してまいりたい、さよう考えております。

○川田龍平君 今、遺骨の収集をされていますガマフヤーというNPOの具志堅さんが、七十五の歯と関連する手足の遺骨を選別作業をしています。歯に追加して関連する手足の骨を鑑定するというのは大事なことです。しかし、厚労省の現在の個体性の考えからすると、歯のある場合は現地で手足の骨は焼いてしまうということですので、この具志堅さんが選別し鑑定する予定の手足の骨は焼骨されていたことになってしまうのではないでしょうか。これは矛盾してしまうというふうに思います。

 やはり、全ての遺骨は残しておくという沖縄県の判断が正しかったということなのではないでしょうか。歯からも十分に検体が取れないこともありますし、交ざっている手の骨一本であってもDNAが取れれば遺族にお返しする可能性があるのですから、発掘した四肢骨にいろんな条件を付けずに日本に持ち帰るというのが、やはり遺族のためにも、発掘された戦没者のためにも必要だと思います。沖縄で行ったこの七十五件の歯の鑑定についての不十分さを関連する手足の骨の鑑定で補完できるかもしれません。それらのことができるのは、沖縄県がこの手足の骨を保管しているからこそです。

 アメリカや韓国では、家族の元に返すまで諦めないと、将来の技術発展を見据えて全ての遺骨を保管しています。少なくとも、骨片であっても、骨の一かけらであっても、国は本気でこの返還に努力したいとはっきり説明すれば、遺族の中で反対する人はいないと思うのですが、自民党の先生方も、これ、いかがでしょうか。是非これ、法律も家族にお返しするまでが国の責務としているのですから、技術の進歩に伴い、これまでの慣習を変える必要もあるのではないでしょうか。

 今後、米軍との協力の関係を深く考えることも踏まえると、アメリカ側からこの現地焼骨という今のやり方を問題視する意見というのも出てくるのではないかとさえ懸念をいたします。この際、アジア太平洋全域でのこの焼骨というやり方についてを中止すべきことについて伺いたいと思います。

○政府参考人(中井川誠君) 御指摘の現地焼骨についてでございますが、厚生労働省といたしましては、可能な限り多くの御遺骨を御遺族の元にお返しすべきという、まさに先生御指摘の要請の一方で、やはり長年収容されずに戦地に置かれた御遺骨を早期かつ丁重に慰霊するためだびに付すべきという御要請、これ、両方に応える必要があるものというふうに考えるところでございます。

 その上で、可能な限り多くの御遺骨を御遺族の元にお返しするという観点から、今回、大腿骨等の四肢骨までいわゆるDNA鑑定の対象を拡大したということがございます。

 焼骨の在り方につきましては、四肢骨によるDNA鑑定のそういう状況を踏まえつつ、関係者の様々な意見を勘案して慎重に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 あと、アメリカについての御指摘ございました。御指摘のように、アメリカの日本の現地焼骨につきまして懸念しておりますのは、要は、アメリカの人種鑑定を経ないで日本が勝手に焼骨してしまうと、場合によってはアメリカ人の御遺骨が焼骨されるんではないかと、そういうリスクを非常に懸念されているというところでございますので、これにつきましては、アメリカ、DPAAとの間で、現地においていわゆる人種鑑定をどのような形で科学的にかつ的確に行うのかというような協議をする等によりまして課題を克服していきたいと、さよう考えているところでございます。

○川田龍平君 これは、年末に安倍総理もハワイに行ったときに研究所を視察されているはずなんです。余りニュースにはなっておりませんが、こういう交流をしっかりしていくべきだと私は思っています。

 次に、希望する遺族のDNAバンク、それから個人識別の能力拡充を含む遺骨の鑑定体制の抜本的な整備の必要性について伺います。

 骨片からもDNAを取り個人識別につながるアメリカや韓国の技術は、研究所を設置した上で、長い経験の蓄積によってなされたと聞いています。委託を受けている日本のある大学の研究室では、手足の骨からDNA抽出は成功していないようですが、そもそもボランティアのような体制であって、専任の研究者がいないと聞いています。

 米韓両国のように中央研究所というのをつくるべきかどうか分かりませんが、国の責務として、もっと体制を抜本的に強化できないでしょうか。米韓両国は生前の基礎資料を持っているからというだけでは、何のために調査に行っていただいたのかということになってしまいます。

 日本との違いは、ほかにも、人類学的な鑑定や骨の歴史をたどって出身地を判定するなどの最新の科学を総動員した総合的鑑定能力を蓄積していることと聞いています。だから、骨片でも鑑定対象にできるわけです。

 もう遺族は待てないんです。これは、韓国が進めているようなDNAバンクを日本でも検討しないと、遺族が次々と亡くなっていってしまいます。いかがでしょうか。

○政府参考人(中井川誠君) お尋ねは二つあったかと思います。

 一つはデータバンクの件でございます。

 例えばアメリカの事例で申し上げますと、アメリカの場合は、第二次大戦での行方不明者数が約七万三千人ということで、当時から個人を特定するための兵士の身体に関する記録や医療記録、特に歯の治療痕等が残っておりまして、御遺骨が発見された場合に、こうした記録と併せて、DNA鑑定により遺族の特定に結び付く可能性があるという前提で、御遺族からDNA情報を収集しているというふうに承知しているところでございます。

 日本におきましては、米国のように個人を特定する記録がない中で、先ほど申しましたように、遺留品や埋葬者名簿等によりある程度戦没者が特定できる場合に関係すると思われる御遺族のDNA鑑定を行いまして、これまで御遺族のDNA情報を収集してきたという経緯がございます。

 御提案のように、そういう関連情報がなく、遺族特定のめどがない中で、究極の個人情報であるDNAデータを大量に国家として保有することについてはやはりちょっと慎重な検討が必要であるかなと考えているところでございます。

 一方、その遺骨の鑑定体制のお話でございます。

 先生御指摘のとおり、現在、そのDNA鑑定は十一の鑑定機関に委託して、鑑定人会議において身元特定の判定を行っているところでございます。今般、歯から四肢骨に対象が拡大することになりまして、鑑定体制の強化というのは当然喫緊の課題であるというふうに認識しておりますし、それから人種鑑定につきましても、先ほどの御懸念のように、現地において適正な人種鑑定をいかに行うのかというのは当然大きな課題であるというふうに受け止めておるところでございます。

 このため、これらの業務量を具体的に精査した上で、関係機関とも相談しながら、必要な体制の確保について具体的に今後検討してまいりたいと考えております。

○川田龍平君 集中期間もありますので、是非急いでやっていただきたいと思います。



2015年5月12日

参議院厚生労働委員会


第189回国会 厚生労働委員会 第10号 平成二十七年五月十二日(火曜日)

白眞勲君 続きまして、先月四月十四日に当厚生労働委員会で取り上げました戦没者の遺骨収集につきましてお聞きしたいというふうに思います。
 厚生労働省にお聞きいたします。
 私、その折の資料提出のお願いで、皆様のお手元の資料の一ページ目にありますものなんですけれども、南方の島の今の遺骨の収容数とか、そういった記録について一度全部出してもらいたいというふうに申し上げましたところ、このお手元にある資料が理事会に提出された資料ということになると思うんですけれども、ここで見てもらいたいのは南方の太平洋の部分でして、中部太平洋というふうに書いてあって、それぞれの合計しか書いていないんですね。私が申し上げたのは島ごとのデータなんですね。資料というのはこれしかないんでしょうか。ちょっとこれについてお答えください。
政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 昭和二十七年度から政府が実施しております遺骨収集帰還事業でございますけれども、これに伴います御遺骨の収容数につきましては、各戦域の島ごとに集計しております。例えば、議員御指摘の中部太平洋でございますけれども、パラオ諸島におきましては戦没者概数が一万六千二百人に対して八千八百四十三柱、トラック諸島におきましては戦没者概数五千九百人に対しまして四千五十五柱を収容しているところでございます。
 なお、政府の収集事業以外に、復員あるいは引揚げの際に戦友等により持ち帰られた御遺骨もございます。これらは、当時、中部太平洋地域という単位で整理されまして、島ごとの数字はございませんけれども、中部太平洋全体で一万三千二百七十柱の御遺骨が持ち帰られているというところでございます。
白眞勲君 そこ座っていてくれませんか。もう後ろ行くよりもというふうに思うんですが、委員長、よろしくお願いします。
委員長(丸川珠代君) 前の席にお座りください。
白眞勲君 私、この前の委員会で、提出してくれるときに全部出してくれと申し上げたんですよね。あるなら何で出さなかったんですか。何でこういう、いや、ありますなんて言うんですか。これ、出してくれということは島ごとのデータを出してくれと私、言ったんですけれども、何でこういうことをやるんですか。
政府参考人(谷内繁君) 従来からこういった、先ほど申し上げましたように、復員の方、戦友等が持ち帰られた御遺骨が中部太平洋地域全体で一万三千二百七十柱というくくりをしておりましたので、お求めがあるときにはこういった資料を出しておりますけれども、議員御指摘のように、もう少し細部の中部太平洋の島ごとの資料を出せということでございましたら、適切に対応させていただきたいと思っております。
白眞勲君 いや、それをこの前言ったんじゃないですか。私、議事録でこう言っていますよ、南方の島の今の遺骨の収容数とか、そういった記録について、一度全部出していただきたいと言ったら、この紙一枚ですよ。ちょっとこれ、不誠実じゃないんですか。
政府参考人(谷内繁君) 繰り返しになりますけれども、先日お出しした資料は、いつも戦没者の遺骨収集に際してお求めがある際に出している資料でございます。
 先日の委員会での御指摘による資料につきましては、今御指摘いただきましたけれども、お求めがあればきちっと対応させていただきたいというふうに思っております。
白眞勲君 いや、ですから、求めたわけですよ。
 委員長、理事会でまたこれはちゃんと提出いただけるようにお願いしたいと思います。
委員長(丸川珠代君) 後刻理事会にて協議いたします。
白眞勲君 塩崎大臣は、先日の質疑におきまして、戦没者の遺骨の収集というのは国の、政府の重要な役割である、責務であるというふうに御答弁をされております。私もそのとおりだというふうに思うんですね。さらに、塩崎大臣はその後、御遺族がまた一方で高齢化しているということも御指摘されました。そういう観点からも、ただ、遺骨を収容するのはもちろんなんですけれども、重要なことは、遺骨を収集してそれを御遺族の元にお届けできればとも思うわけなんですね。
 ですから、もちろん、御遺族の方々にしてみれば、身元さえ判明すればというふうに思っていらっしゃる、そういう熱望されている方も多いと思うんですけれども、その点について塩崎大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
国務大臣(塩崎恭久君) この間申し上げましたように、御遺族の方々は本当に高齢化をされているので、一日も早く御遺骨を収集してお戻しをするというのが原則だと思います。
 そのためには、本当にその個人の身元を判明するためには、正確を期すためには、やっぱりDNAの鑑定が必要になるということでございますので、これについても、厚労省で戦没者遺骨のDNA鑑定に関する検討会というのを、平成十五年の三月に出ておりまして、十五年度から死亡者名簿等の記録資料から戦没者及び御遺族を推定でき、そして遺骨から鑑定に有効なDNAが抽出できて、さらに遺族から適切な検体が提供される場合にはDNA鑑定ができるということで、それを実施をしているところでございます。
 ただ、南方の方でのDNAの抽出というのがなかなか気候的にも難しい、それからまた戦闘地域であったということもあって大変難しいわけで、どちらかというとシベリア地方などではDNA鑑定実施件数が多いわけでありますけれども、南方の方はなかなか難しいということもありますが、できる限りの努力をしなければならないというふうに考えております。
白眞勲君 まさに今大臣御指摘あったとおりだと私は思うんですね。
 重要なことは、やっぱり御遺族に御遺骨をお戻しするということが重要な作業であるということだというふうに思うんですが、皆さんのお手元の資料二を見ていただきたいと思います。
 これは毎日新聞の先日の四月の二十五日の資料です。栗原毎日新聞の記者が一生懸命書いてくれているわけですけれども、これによりますと、沖縄においては十八万の御遺骨のうち、DNAによって四体の身元が判明したとのこと。確かに十八万分の四かもしれないんですけれども、これ、私、極めて重要だというふうに思うんですね。
 また、シベリア抑留で亡くなった方の場合、今大臣もお話ありましたように、やはり南方に比べて非常に多くて、千人近くの身元が判明しているわけですね。つまり、先ほどの再生医療ではないんですけれども、日々発展している科学技術によって、今までは無縁仏というふうに言っていたんでしょうかね、それが骨からDNAを採取して、そこから戦没者の身元を判明することができるようになったということで、平成十五年の三月に検討会を立ち上げたというんですけれども、本当に私はこれ画期的だと思うんですけれども、もう一度、大臣、これもう少し積極的に推し進める必要性があるんではないだろうかというふうに思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、これまでの鑑定状況を見てみますと、やはり旧ソ連地域、ここと、それからその他の地域と比べると随分差がございまして、実際に身元判明件数というのが旧ソ連地域ではこれまでの累計で九百九十件ございますが、その他では十一件しかないと。こういうことでありますので、先ほど申し上げたように、幾つかの条件を整えて鑑定を実施をしているわけでありますので、これをでき得る限り実際にきちっと有効なDNAを抽出して、そしてさらに御遺族から適切な検体を、これ、口の内側の粘膜から取ってくると聞いておりますけれども、提供を得て、その上で合うかどうかということを調べるということが大事なので、でき得る限りのことをやっていかなければ高齢化されている御遺族に申し訳ないと、こういうふうに思います。
白眞勲君 今大臣からそのようにありましたように、やはり適切な検体を提供を受けて、できる得る限りやっていきたいということだと思うんですけれども、ちょっと参考人で結構でございますが、現在収容された御遺骨のDNAというのは全て鑑定しているんでしょうか。お答えください。
政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 鑑定につきましては、先ほど大臣から答弁ございましたように、平成十五年三月の報告書の指摘を踏まえまして、死亡者名簿等の記録資料から戦没者及びその遺族を推定できて、遺骨から鑑定に有効なDNAが抽出でき、遺族から適切な検体が提供される場合にはDNA鑑定を実施しておりますので、そういった条件に合致したものについてDNA鑑定を行っているところでございます。
白眞勲君 ちょっと確認なんですけど、そうすると、採取された遺骨からはDNA鑑定を取っていないんですか。その辺、ちょっと確認なんですが、教えてください、もう一回。
政府参考人(谷内繁君) 繰り返しになりますけれども、そういった三条件がそろった際にDNAを抽出しておりますけれども、例えばロシアでは、埋葬地単位で死亡者が判明しているために、遺骨からDNAの抽出を行いデータを蓄積するとともに、その埋葬地単位で収集事業が概了した場合にDNA鑑定を実施しているところでございます。
白眞勲君 何で三条件がそろわないとDNA鑑定しないんですか。DNA鑑定というのは骨があればできるでしょう、これ。何で三条件じゃなければいけないんですか。お答えください。
政府参考人(谷内繁君) 今現在、厚生労働省では十五年三月の報告書に従いましてDNA鑑定を行っておりますけれども、今国会でもいろいろ御議論がございまして、データベース化すべきじゃないかという御意見もございまして、橋本政務官からも検討しますという御答弁をいただいておりますので、我々としてもそういった方向で検討しているところでございます。
白眞勲君 いや、私が聞いているのは、なぜ三つの条件がそろわないとDNA鑑定をしないんですかということなんですよ。何でですかと聞いているんです。お答えください。
政府参考人(谷内繁君) お答えします。
 繰り返しになりますけれども、従来、厚生労働省援護局では、そういった三条件がそろっている場合にDNA鑑定をやってきたということでございまして、ただし、先ほど申し上げましたように、今後そういったデータベース化につきましてきちっと検討するというふうな方向で今検討しているところでございます。
白眞勲君 いや、私の質問に答えていただきたいんですね。三条件がそろわないと何でDNA鑑定しないんですかということなんですね。もう一度お答えください。
政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 その報告書の概要でございますけれども、DNA鑑定につきましても、あくまでも遺骨を遺族に返還するために行うということでございますので、そういった観点からその三条件を設定して、そういった場合に限ってやっているところでございます。
白眞勲君 当たり前じゃないですか。遺骨を遺族に返還するために遺骨の発掘をやっているんじゃないんですか。だから、私、三条件、意味分からないんですよ、そういう面で。今の、答えになっていませんよ。遺骨をその三条件でくくらない限りはDNA鑑定をしない理由は何なんですかということなんですよ。ちゃんとお答えください。
政府参考人(谷内繁君) 繰り返しになるかもしれませんけれども、あくまでも、先生御指摘のように、遺骨を遺族にきちっと返還するということが大事でございまして、そのためにはDNA鑑定をする際に御遺族を推定することが必要ということでございまして、そのために平成十五年三月の報告書ではこの三条件を設定したということでございます。
委員長(丸川珠代君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
委員長(丸川珠代君) 速記を起こしてください。
白眞勲君 要は、三つの条件がそろわない限りDNA鑑定をしないというのは、私はおかしいと思うんですね。今御答弁された中には、御遺骨を遺族の元にきちっとお返しするために三つの条件が必要だという。よく分からないんですね。DNA鑑定しないと、それは返しようないじゃないですか。何で三つの条件がそろわないとできないのか、それをお答えください。
政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 繰り返しになりますけれども、DNA鑑定を行う目的というのは遺骨を遺族にきちっと返還することでございます。そのためには、当然、DNA鑑定をする際には間違ってはならないということで、ある程度御遺族を推定する、要するに、遺骨以外に御遺族の側につきましてもDNA鑑定をしなければいけないということでございますので、その方についてはそういった御遺族だと推定することが必要だということでございますので、誤りなきようにということで、当時、平成十五年の三月につきましては、その検討会におきまして先ほど述べました三条件が設定されたということでございます。
白眞勲君 いや、さっぱり分からないんですね。要は、遺骨があるわけでしょう。遺骨のDNA鑑定をしないと、元々、その御遺族は推定できないんじゃないんですか。そうでしょう。私、そう思いますよ。何か今言っていること反対なんですよ。御遺族が手を挙げたら遺骨が、これおかしいじゃないですか。ちょっと大臣、手を挙げているので、じゃ、大臣お願いします。
国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど私から明確に申し上げなかったんですけれども、この三条件の一番目というのは、死亡者名簿等の記録資料から戦没者及びその遺族を推定できということで、まず第一にこの地域で亡くなられた戦没者の方が誰かということの推定をまず、そこにおられたはずの部隊が例えば五十人いたとすれば、五十人の名簿を、ちゃんと推定をして、この中のお一人だろうということになればかなり絞られるわけですね。
 今先生がおっしゃっているように、御遺骨から全部DNAを取っていくとなると大変な数になって、今度は遺族の可能性も物すごい増えるわけで、それを絞る意味で戦没者をまず絞り込んで推定をして、そしてそれに呼応するであろう御遺族を推定をして、両方のDNAをぶつけてみて、それで初めて一致をするということになるので、これ、先ほど申し上げた判明した件数で、十一件しかその他地域ではないと申し上げましたけれども、これ実施件数は六十一件あって、十一件、実施したうちの判明があります。それから、旧ソ連地域では千九百七十件実施をして九百九十件、これが判明をして、それで無事御遺族に戻すことができたと、こういうことになるわけでありますので、まず第一に、御遺骨を収集したときにどなたの可能性があるのかという推定をすることをまずやった上で、遺族の側の可能性を今度は調べ、それでぶつけていくということをやっているはずなんです。
 私も専門ではございませんけれども、そういうことだと思うので、御遺骨全部のDNAをやるというのは、先ほど、橋本政務官からお話があったような、御遺骨を収集したら全部取り込んでデータベース化する、そして御遺族の方も調べるだけ調べてぶつけるということは理論的には可能ですが、やはりできるところから急いでやろうということであれば、今申し上げたように、この地域で亡くなられた方の可能性はこうだということを調べた上でやるということではないかなというふうに思っております。
白眞勲君 最初から大臣に聞けばよかったですよ。非常に分かりやすく話をしてくださるわけですよ。
 そのとおりなんですよ。それはよく分かるんですね。ただ、やっぱり今どんどん科学技術は発展していますよ。確かに昔はDNA一つ取るにしても相当な手間が掛かったかもしれない。しかし、科学技術というのはこれからどんどん発達していくわけですよね。
 ただ、やはりどんどんどんどん私はデータベースというのをしっかりと整えて、それから手を挙げていらっしゃる御遺族とのやっぱり照合というんでしょうかね、それをやっていくという部分においてはデータベースをもっとしっかりと整える必要性があるんではないだろうか。今までみたいに、どうも私が聞いている範囲内では、御遺族の方から手を挙げていらっしゃる、そうすると、そこの方からDNAをもらって、そして大体この辺の可能性だということ等やっていると、それはなかなか難しい。最初からDNAをしっかりと全部採取していくこともこれからは考えるべきだと私は思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、御高齢になっていらっしゃる御遺族にできるだけ早く戻すということが一番大事なので、それにとって一番いい方法を考えるということで、先生のおっしゃっているような形で、できる限り、この地域で亡くなっているはずだという御遺族の方の採取をした上で、DNAを、それで捜しているものとぶつけていくという形ももちろんあり得ると思うので、その辺は、今のやり方プラス今の先生の、少し範囲を広げて、御遺族からDNAをいただいてやったらどうかということも検討に値するんだろうというふうに思います。
白眞勲君 まさに大臣おっしゃるとおりで、今やはり、御遺族の方にとってみたら、この前テレビで見ていたら、ペリリュー島に御遺族の方が行っては、骨も見付からないけれども、きっとここだということで一生懸命やっぱりいまだに捜していらっしゃる御遺族の方も結構いらっしゃるわけですね。
 ですから、骨が出てきたとしたらすぐにもうDNA鑑定という、自動的にDNA鑑定という形に持っていってデータベース化をしっかりと取っていく。と同時に、御遺族の方の中にも手を挙げていただいた方には、もちろんこれは個人情報という部分においてはしっかりと管理しなきゃいけません、DNAですから。しかし、そういう形でやっていくことによって相当にこれは進展ができるのではないかなというふうに私は思うんですけど、もう一度、大臣、御答弁願いたいと思います。
国務大臣(塩崎恭久君) 全面データベース化するというのはなかなか難しいと思うんですけれども、今のやり方を広げるという意味でのデータベース化はあり得ると思いますので、その方向はそのとおりだというふうに思います。
白眞勲君 それと同時に、今、遺骨を収集した後、それをどうも焼くようですね。それで千鳥ケ淵の方にお納めするという形を取っているんでしょうか。ちょっとそれを、もう一回確認なんですけど、その辺ちょっと教えてください。
政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 海外で遺骨収集した場合には、日本人だと確認できた場合には、DNA鑑定で検体が抽出できればそれを抽出した上で、それ以外のものについては焼骨した上で日本に持ち帰って、遺骨の持ち主が分からない場合には千鳥ケ淵の墓苑に納めているといったような状況でございます。
白眞勲君 ちょっと確認なんですけど、DNA鑑定をしていないまま納める場合もあるわけでしょう。焼却しちゃう場合も多いということですよね、今の話からいうと。その前の話からいうと、三要件が当てはまらないと、もう自動的にと言っては何ですけど、そういう形にしてしまうんでしょうか。もう一回その辺ちょっと確認なんですけど、ちゃんと答えてくださいね、しっかりと。
政府参考人(谷内繁君) お答えします。
 申し訳ございません。DNA鑑定をするものにつきましては焼骨はいたしませんで、DNA鑑定をするような検体がない、抽出できないものにつきましては、焼骨した上で日本に戻しているというような状況でございます。
白眞勲君 抽出できないものって何ですか。
大臣政務官(橋本岳君) お答えをいたします。
 DNA鑑定をする、先ほど来御議論があるように、御遺族の方にお戻しをするためにということでしております。
 当然ながら、その御遺骨も、体全体あったりとか一部だけであったりといったいろんな場合があります。また、シベリアなどでは一体一体埋葬されているから分かりやすいということもあるし、南方ですとか例えば沖縄ですと、何人かの方が重なり合ってというような状況もあって、どれがどの方なのかよく分からないというような状況もあります。
 そうした中で、DNA鑑定には歯を使ってDNA鑑定をしているということになって、これは恐らく技術的な要因だと思いますけれども、先ほどから申し上げている三条件の中の一つとしてDNAが採取できることというのは、そういうような状況になっております。
 ですから、それがあるものについてはDNA鑑定をさせていただいている。そして、そういう状況にない、要するに、どの方のお骨かよく分からないでありますとか、そもそもDNA採取ができる部位がないでありますとか、そうしたものについてはDNA鑑定については困難であるということで、先ほどのような手順になっているというふうに考えております。
白眞勲君 今は確かに鑑定ができない、物理的にできないものもあるかもしれない。しかし、そもそもDNA鑑定ができるようになってからもそんなに大して期間としては長くないわけですね。今後もっと科学技術が発展していったら、焼骨してしまったらこれはDNA鑑定なかなか難しいということも聞いております。
 ですから、そういったものも今後の、何でしょうね、これはまた基準もあるでしょう、本当にもうちっちゃな骨でどうにもならない場合もあるかもしれないけれども、ある程度の、まとまったという言い方がいいのかどうか知りませんが、少し大きめな場合にはそれをきちっと保管して、今後DNAが取れるかもしれない。焼くのではなくて、これからはそういうことも少し検討する、値する必要性があるんではないんだろうか。今はDNAは取れないかもしれないけれども、今後取れる可能性だってあるかもしれないじゃないですか、これから科学技術どんどん発展するんですから。
 ですから、そういう部分について、ちょっとこれは大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、やっぱりこれは検討に値すると思うんですけれども、その辺どうでしょうか。
国務大臣(塩崎恭久君) 今、橋本政務官からお答え申し上げましたように、現在は歯からDNAを抽出してそれを合わせるということをやっているわけでありまして、それが、今先生御指摘のように、科学技術の進歩によって他の部位からもできるということであればあれですけれども、言ってみれば科学技術との追いかけっこになりますので、その時々の科学技術の最先端で私たちは最善を尽くすということをやっていかなければならないというふうに考えております。
白眞勲君 もちろんそうなんですよね。最先端の技術で最善を尽くすこと、それはそのとおりなんですけれども、焼いてしまったらこれは後戻りになっちゃうんですよ。最先端じゃなくなっちゃうんですよね。
 ですから、その保存について、焼かないという可能性はどうなんだろうかという部分について、これは、大臣、一度考えてみてもいいと思うんですよ、私は。別にここでやりますなんという、そういうことを言うわけにはいかないかもしれないけれども、せめて検討するぐらいやっても僕はいいと思いますよ。どうでしょうか、それは、大臣。
国務大臣(塩崎恭久君) お気持ちは分かりますが、御遺骨を見付けて、しかしそれを焼かないということになると、それを置いてどうするのかということになって、仮に判明がしない、合致する御遺族が見付からないという場合に、どの時点で科学技術の進歩と比べてみて置いておくべきかどうかというのはなかなか難しいと思うので、今は、ですから千鳥ケ淵に最終的にはお納めをするということを選んでいるので、そこはやっぱり全体として御遺族のお気持ちがどういうやり方が一番安らぐのかということを考えて、そのときにやはりそのときの最善の道を選んでいくしかないのかなというふうに思っておりますけれども。
 もちろん、科学技術の進歩というのは先生がおっしゃるとおりでありますから、歯以外でもできるようになるということであれば、それが見通せれば少し時間を置くということもあるかも分かりませんけれども、やはり時間との競争であることも間違いないというふうに思えるところがございますので、そこのところはなかなか悩ましいというふうに思います。
白眞勲君 私の気持ちというよりも、御遺族の気持ちを考えてもらいたいと思うんですけれども。
 私はやはり、今まではもうそれは焼骨して、それで千鳥ケ淵にお納めするということですが、それ自身をそろそろもう一回検討して、どういうやり方がいいのかということも含めて、今後のこういうDNAの採取もできるようになりそうだということであるならば検討する必要性があるというのが私が思っているところなんですけれども、その辺り、大臣としてもう一度御答弁願いたいと思います。
国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたとおりでございまして、それをもし焼骨をしないで保管をして、沖縄なら沖縄に取りあえず保管をしておくということで御遺族がどうお考えになるのかということも同時に併せ考えていかなければならないと思いますので、先生のお考えは確かに選択肢の一つかとは思いますけれども、現在のところは今のやり方がベストかなということでやらさせていただいているということなので、可能性としては先生のお考えももちろんあり得るというふうに思っております。
白眞勲君 いや、私の考え方があり得るということではなくて、やっぱり検討に値するのではないかというふうに私は思っているんですが、その辺り、大臣はいかがでしょうか。
国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げますけれども、今は今のやり方でいくのがベストだろうというふうに考えて私どもはやらせていただいておりまして、それを保管をしておくということで、科学技術の進歩を待つということだけではなかなか難しいかなというふうに思いますので、科学技術の進歩が見えているということであれば、先生のおっしゃったことも十分あり得るというふうに思うところでございます。
白眞勲君 いや、私は見えているというふうに思います。
 それと同時に、もう一つ、今ちょっとこの焼骨の前の段階での、DNAの、遺骨から採取する関係においてのデータベース化というんでしょうかね、そういったものというのはどんどんしていくべきだと思いますが、この記事にもありますとおり、実際に御遺族の方が、DNAでこうやって今少しずつ分かりつつあるんだということ自身を御存じない方も相当いらっしゃるというふうに私は思っております。
 ですから、そこはやっぱり広くこれからは、もしよろしければということで、DNAについて御遺族の方々からも採取、もしさせていただければ、万が一見付かった場合にはすぐ御連絡差し上げたいというような、今までの三要件のような形ではないやり方。御遺族から手を挙げていただいたら何かということではなくて、両方から攻めていく、つまり、そういうデータベース化してDNA鑑定された遺骨とのマッチングをするべきなんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣、お考えいかがでしょうか。
国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げますけれども、考え方としては十分あり得ると思うわけでありますけれども、そしてまた、さっき申し上げたように、この地域で恐らく亡くなられたんだろうというふうに思う御遺族の方々には、もちろん今おっしゃったように、今まで以上にDNA鑑定に応じていただくように検体を提供いただくということは十分あり得るというふうに思うところでございますので、そういう意味で、今までよりも範囲を広げてやるということに関しては十分あり得るというふうに思います。
白眞勲君 まさにそうなんですよね。範囲を広げてもらいたいんですよ、そういう。今まではどちらかというと待ちの姿勢だったと私は思うんです、厚生労働省さんは。ですから、そうではなくて、もっとより積極的に、そのところにいた部隊分かっていますから、その部隊の人たちの、例えば今、遺族会の皆さんとかそういった方々に、是非ちょっとそういう御協力願えないだろうかということも働きかけていくような、そういうことも必要ではないかと思いますが、もう一度その辺、御答弁願いたいと思います。
国務大臣(塩崎恭久君) ですから、広く御遺族の皆さんにDNAの検体を御提供いただくと可能性が高まりますよということはお知らせをして範囲を広げるということはあり得るというふうに私も考えます。
白眞勲君 ありがとうございます。
 


2016年2月18日

参議院厚生労働委員会


平成二十八年二月十八日厚生労働委員会(木曜日)(遺骨法案に関して抜粋)

○委員長(三原じゅん子君)ただいまから厚生労働委員会を開会いたします

○津田弥太郎君

次に、遺骨収集法案に関係して大臣にお尋ねをしたいと思います。 法案の九条、戦没者の遺骨収集により収容された遺骨について、鑑定等に関する体制の整備等が明記をされております。これは大変私は高く評価をしておるわけでありまして、身元特定のためのDNA鑑定の対象拡大が加速化するのではないかということで期待をするわけでございます。 この戦没者遺骨のDNA鑑定の対象拡大について今後どのような手順で実施されようとしているのか、対象地域等を含めて、塩崎大臣の答弁を求めます。

○国務大臣(塩崎恭

DNA鑑定の対象拡大でございますけれども、これにつきましては、御遺族がまず高齢化をされていることに加えて、国会での御議論、それから関係団体等からの御要望もたくさんございまして、これらを踏まえて、戦後七十年を契機に議論、検討を加速化いたしまして、遺留品等がなくても、部隊記録等の資料により、ある程度戦没者が特定できた場合に、当該戦没者と関係すると思われる御遺族に呼びかけを行って、DNA鑑定を実施することとしたところでございます。

具体的には、平成二十八年度のできる限り早い時期に、部隊記録等が残っており、ある程度戦没者の特定ができる沖縄につきまして実施する方向で検討しておりまして、その結果を踏まえて、他の地域における実施について検討してまいりたいと思います。

○津田弥太郎君

是非、取組の促進をお願いをしたいというふうに思います。 私は、去る二〇一二年の三月十四日、厚労省の大臣政務官として硫黄島に行きました。日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼式に出席するためであります。日本軍の戦死者二万二千人、アメリカ軍も六千八百二十一人という大変多くの方々がこの硫黄島で亡くなられているわけでございます。この硫黄島につきましても、遺骨のDNA鑑定が拡大していくことになるだろうというふうに信じておるわけでございます。そこで、お尋ねしたいわけでございますが、さきの大戦においては、多くの朝鮮半島出身者が旧日本兵又は軍属として各地で戦死をしているわけであり、その実態については厚労省の保存ファイルでも一定程度明らかになっております。御遺骨が戻られる日を心待ちにしている遺族の思いというのは国による違いはないはずであります。補償問題や慰安婦問題とは絡めることなく、また費用についても適切に韓国側が負担する、そのような前提の下で、韓国側から遺骨に関するDNA鑑定をお願いされた場合には、日本政府としてこれを拒絶するようなことはあってはならない、しっかり協力すべきであると私は考えておるわけでございますが、御遺族の御高齢化、これも大変大きな課題でございます。人情派の塩崎大臣というイメージがあるわけでございますので、是非そういう答弁をしていただきたいと思います。

○国務大臣(塩崎恭君)

御遺族の気持ちは国境に関係なく同じであるという先生の今の御指摘はそのとおりだというふうに思っているわけでありまして、今のこの朝鮮半島御出身の方々につきましては、外交交渉に関わる問題ではございますけれども、御遺族の気持ちに強く配慮をしていくべきという今の御指摘、その御意向もしっかりと受け止めて、韓国政府から具体的な提案がございましたら真摯にそれを受け止めて、政府部内で適切な対応を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○津田弥太郎君

日本人の戦没者の特定という点でも、これ、間違いなく前進をするわけでありますので、是非とも早期の問題解決を求めて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○川田龍平君

次に、遺骨収集の推進法案について伺います。大臣、戦後七十年が経ておりますけれども、海没者を除いても八十三万人もの御遺体がミャンマーなどの異境の地に眠っておられるという現実についてどのようにお考えでしょうか。憲法の前文にあるように、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにするという、そのためには、犠牲者を一人でも多く御遺族の元にお帰りいただき、この努力を抜きには語れないと思います。時の為政者によって傷つけられた個人の尊厳を回復するという点では、私は、自分自身薬害の被害者として、こうした亡くなった後も個人の尊厳を回復するための国の責任というものを大変重いと感じております。国のために犠牲となった戦没者の御遺骨の収集は国の責任であり、この法案第二条にあるように、ただ収集をするのではなく、御遺族の元にお返しするところまでしっかり行うのが国の責任であるということについて、大臣の見解を求めます。

○国務大臣(塩崎恭君)

今回の法案の第二条に、今御指摘もございましたが、戦没者の遺骨収集とは、いまだ収容され、又は本邦に送還されていない遺骨を収容をし、本邦に送還し、及び当該戦没者の遺族に引き渡すこと等をいうというふうに定められておるわけでございます。厚生労働省としても、これに沿って遺骨収集を実施していくべきというふうに考え、また、今般の法案は、戦没者の遺骨収集を国の責務として明確に位置付けをしているわけでございまして、更に加速させるための法案と承知をしております。厚労省としても、法案の趣旨を踏まえて、一柱でも多くの御遺骨を早期に可能な限り収容し、御遺族にお引渡しができるように取組を一層強化してまいりたいというふうに思っております。

○川田龍平君

この法案、議員立法ですけれども、閣法として出すべき、国の仕事としてしっかりやる仕事だったんではないかと思っております。そこで、鍵となるのがDNAの鑑定です。政府は、まず沖縄から、遺留品などがない遺骨からもDNAを抽出し、データベース化する方針を表明しています。二〇一三年に浦添市で見付かった遺骨の例では、遺留品の印鑑とDNA鑑定で身元が判明し、御遺族に遺骨が返還されましたが、御遺族が保管していた死亡通知書には別の市での戦死ということになっていました。 部隊記録等の軍の資料でさえも死亡場所が正確に記録できていないほどの沖縄戦の過酷な実情を踏まえれば、そして今後のDNA鑑定技術の発達、そして御遺族の方の高齢化をも考慮するならば、今のうちに、希望する全ての御遺族にDNA鑑定を認めるか、少なくとも検体をいただいて保管しておくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君)

DNA鑑定におきましては、歯が表面が硬く湿気の影響を受けにくいなどということから、比較的容易にDNA抽出作業ができ、なおかつ得られるDNAデータの情報量が安定しているというDNA鑑定の専門家の御意見に基づきまして、検体として歯を用いて鑑定を実施するということをしてございます。 御家族のことを先行してということでございますけれども、個人の情報を行政の方でお預かりするということに注意をしながら進めていかなきゃいけないということから、現時点においては少し慎重に考えてございます。まずは、先ほど大臣からもお答えいただきましたような方針で沖縄から実施してまいりたいと、こういうふうに考えてございます。

○川田龍平君

御遺族の方ももう高齢になられておられます。そして、DNAを採取するところというのは、髪の毛の毛根のところですとか、口の中のものですとか、いろいろ粘膜ですとか取って、ちゃんと保管しておくことが重要だと思います。孫の世代になるとまた、このDNAの今のところはまだ精度が落ちるということもありますので、御遺族の方が希望する場合には是非やっていただきたいと思います。 といいますのは、DNA鑑定には、遺骨側で一検体につき五万円、遺族側で一人、遺族側では三万円掛かると聞いていますが、限られた遺族としか照合しないということであると、この遺骨側のデータベースが無駄になりかねません。そういった意味では、このDNAの技術というのは日進月歩で、偶然の一致というものも減るはずですので、是非、一部自己負担などということでもって、知恵を絞って、希望者だけとか、希望者全員のDNA鑑定か検体を保管すべきと考えます。沖縄県では、これまで遺骨の焼骨方針を示していましたが、県議会が二〇一四年の七月に保管を求める決議を全会一致で可決をしまして、一昨年の六月には国に対して当面焼骨を停止する方針を伝えています。この沖縄以外の太平洋地域の全域から収容した遺骨についても、集中実施期間は焼かずに保管をする方針を基本計画で明確にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君)

お答え申し上げます。お答え申し上げましたように、DNA鑑定、現時点におきまして、歯が表面が硬く湿気等の影響を受けにくいということで、比較的容易にDNAの抽出作業ができ、なおかつ得られるDNAデータの情報量が安定しているという見解でございまして、検体として歯を用いて鑑定を実施することとしてございます。一方で、厚生労働省といたしましては、外国で祖国のために尊い命を犠牲にされました戦没者の御遺骨に対しましては、礼をもって向き合うことが大切というふうに考えてございまして、収容されました御遺骨について、早期かつ丁重に取り扱い、火葬し、可能な限り御遺族の元にお返しできるよう、また、できない方につきましては千鳥ケ淵戦没者墓苑等にお納めするというふうにすべきと考えてございまして、DNA鑑定に必ずしもつながらない御遺骨を保管するということは現在考えてございません。

○川田龍平君

さきの大戦で亡くなった方々の御遺骨を御遺族に返すというところまでがやっぱりこれ国の仕事、責務だと思いますので、是非しっかりそこを、時間の経過とともに返せないということにならないように、これ特に集中期間にしっかりやるように、厚生労働大臣そして関係各位の皆さん、是非力を尽くしていただきますよう、よろしくお願いいたします。今日は、本当に、こういった法律を作ることで、また、こうしたことを国の責務としてしっかり法にのっとって行っていただくように、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○東徹君

おおさか維新の会の東徹でございます。 まず、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案の方から質問させていただきたいと思います。 この法律案、さきの大戦から今年でもう七十一年が経過するわけであります。戦没者の遺族はもちろん、その戦争を体験した方々も大変高齢化が進展していっているということで、先ほども話がありましたが、残された時間は余り多くないというふうに思っております。一柱でも多くの遺骨が収集することができ、そして家族に引き渡すことができれば言うことはないというふうに思っております。 そんな中でありますが、この戦没者の遺骨でありますけれども、非常に数も多いということであります。全体で海外の戦没者の概数が二百四十万人という状況であります。そんな中で、遺骨収集ができたのが百二十七万柱ということでありまして、そしてまた、未回収なのが百十三万柱ということになっております。今回、集中実施期間ということで、十年間を掛けて集中的に取組を行っていくということでありますが、この十年間の中でどれぐらいの遺骨収集が可能と予想されるのか、お聞きしたいと思います。

○副大臣(竹内譲君)

お答えいたします。 海外戦没者約二百四十万人のうち、これまでに約百二十七万柱の御遺骨を収容しているところでございます。海没遺骨や相手国の事情により収容が困難であるものを除く未収容遺骨は最大で約六十万柱と考えておりますが、御遺族や戦友等が高齢化し、当時の状況を知る方々が少なくなっておりまして、遺骨に関する情報が減少してきていることも事実でございます。 このため、厚生労働省といたしましては、法案の趣旨を踏まえ、平成二十七年度からの三年間は諸外国の国立公文書館等が保有する埋葬地などに関する海外資料調査を強化し、集中的な情報の収集に取り組むこととしております。法案に規定する集中実施期間における遺骨収容の見込みにつきましては、現時点でお答えすることは困難ではございますけれども、海外資料調査を含む遺骨収集の推進に資する施策を総動員をいたしまして、一柱でも多くの御遺骨を早期に収容できるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。

○東徹君 :十年間でどれぐらい想定されているのか、非常に数として難しいということでありますが、もちろん一柱でも多く収集したいという思いは我々も同じでありまして、その思いには変わらないわけでありますけれども、ただ、来年度の厚生労働省の予算を見させていただきますと、遺骨のDNA抽出、解析を含む遺骨収集帰還事業等に二十三億円の予算が計上されております。来年度、非常に答えづらいのも分かるんですが、やはりある程度の目標を持ってやっていくということも非常に大事だというふうに思っておりまして、二十八年度、来年度はどれくらいの遺骨収集を目標としているのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(堀江裕君)

お答え申し上げます。御指摘の二十三億円でございますけれども、これは平成二十八年度予算案におきまして、遺骨収容帰還事業の強化、御遺骨のDNA抽出、解析の強化、海外・国内民間慰霊碑への対応、戦争の経験の次世代継承といったことを含めまして計上したものでございます。 遺骨収集帰還事業に係る経費といたしましては、平成二十八年度は平成二十七年度に比べまして約四・九億円増額して約二十一・三億円を計上してございまして取組を進めることとしており、その中には、具体的には、海外公文書館資料調査の強化、現地情報収集事業の実施地域を追加すること、南方地域の遺骨収集帰還実施地域を追加すること、そして硫黄島の滑走路地区の掘削に係る経費ということで盛り込んでいるものでございます。 お尋ねの二十八年度の遺骨収容数について、現地の状況、それから遺骨情報の収集、分析結果など様々な要因がございまして、現時点で遺骨収容の目標数をお示しすることはなかなか困難でございますが、厚生労働省といたしまして、遺骨収集推進法案の趣旨も踏まえまして、一柱でも多く御遺骨を早期に可能な限り収容できるよう取組を更に進めてまいりたいと考えてございます。

○東徹君

一柱でも多くは当然のことでありますけれども、ある程度のやはり目安というか、そういったものを是非持って、一柱でも多く収集するためにはより効果的なことも検討していくべきだ

というふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。 未収容の遺骨についてでありますけれども、未収容の遺骨百十三万柱あるわけでありますが、その百十三万柱のうち、二十三万柱が相手国の事情によって収容困難というふうに区分がされております。大半が、中国北東部、旧満州の地域にあるというふうに聞いております。御遺族の高齢化が進んでおるわけでありまして、遺骨のできる限り早い収容が求められておりますけれども、現在、中国政府との交渉状況、今後の対応、この点についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(堀江裕君)

お答え申し上げます。 御指摘のとおり、相手国の事情により収容困難と区分しております約二十三万柱の未収容遺骨のうち、旧満州地域であります中国東北部におきまして約二十万六千柱を占めているものでございます。中国におきます遺骨収集については、中国側にも多数の犠牲者、遺族がおりまして、中国側の国民感情などから実現していないというのが実情でございます。戦没者遺骨収集法案が成立した場合には、法七条の規定に則しまして、戦没者の遺骨収集の円滑な実施を図るため、関係国の政府等の理解と協力が得られるよう、外務省等関係省庁との連携協力を進めていきたいと、こういうふうに考えてございます。

○東徹君:ということは、現状は、なかなかまだ中国政府とはその辺の話は付いていなくて、非常にここはまだまだ困難な状況にあるということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君)

今御指摘のとおりでございまして、過去には遺骨収容が困難であれば、せめて慰霊巡拝だけでも実現させてほしいというようなことで、そちらの方の道を開いていったというようなこともございまして、今の時点で具体的な遺骨収集について進められていないという状況にございます。

○東徹君 :しっかりと外務省の方とも連携していただきまして、取組を前へ進めていただきたいと思います。

○福島みずほ君

この法律案における遺骨収集の対象者は我が国の戦没者となっておりますが、戦時中の日本の兵隊として動員されたアジア各国の方々の遺骨収集や御遺族への返還作業というのについてはどのように取り組んでいかれるでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君)

お答え申し上げます。日本政府が行っております戦没者遺骨収集帰還事業は、海外で戦没した我が国の戦没者の御遺骨を日本へ送還することを目的として行っているということで、法案第二条に定義されている考え方と一緒でございます。一方で、収集作業の過程において遺留品等により我が国の戦没者以外と思われる御遺骨があった場合には、日本国政府の一存で取扱いを決めることもできませんので、現地政府機関に通報の上、適切に対応することになると考えてございます。

○福島みずほ君

二〇一五年六月八日の琉球新報の報道によれば、沖縄県での戦没者遺骨について焼骨方針から全ての遺骨を保存する方針に転換したとのことでありますが、その後、この方針どおり保管しDNA鑑定を行う体制となっているでしょうか。先ほども質問がありましたが、一言お願いします。

○政府参考人(堀江裕君)

先ほど川田委員のところでも御質問がございましたけれども、新聞は国の方でDNA鑑定の対象を拡大するという方針、あわせまして沖縄県の対応、受け止めについて報道されたものというふうに承知してございます。 この問題につきましては、一柱でも遺族の元にお戻ししたいという要請と、それから、私先ほど申し上げましたけれども、海外に眠る戦没者遺族の遺骨について早期に火葬しお弔いをしていかなければいけないという両方の要請がございまして、政府といたしましてはDNA鑑定に必要な歯の保存をし、それを鑑定に掛けるという方針で取り組んでいるところでございます。

○小池晃君

遺骨収集の問題、時間来ちゃったので、済みません、じゃ、これは後日改めて質問させていただきます。

○委員長(三原じゅん子君)

次に、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案を議題といたします。 提出者衆議院厚生労働委員長渡辺博道君から趣旨説明を聴取いたします。渡辺博道君。

○衆議院議員(渡辺博道君)。

   省略

○島村大君

私は、ただいま議題となっております戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案に対し、自由民主党及び公明党を代表して、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。 これより、その趣旨について御説明申し上げます。 修正の要旨は、この法律の施行期日を「平成二十七年十月一日」から「平成二十八年四月一日」に改めるとともに、これに併せて、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を集中的に実施する期間を「平成二十七年度以降十箇年間」から「平成二十八年度から平成三十六年度までの間」に改めるものであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○委員長(三原じゅん子君)

これより原案及び 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕全会一致と認めます。よって、島村君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 この際、津田君から発言を求められておりますので、これを許します。津田弥太郎君。

○津田弥太郎君

私は、ただいま可決されました戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、維新・元気の会、おおさか維新の会、無所属クラブ及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。( 省略 別添附帯決議)

○委員長(三原じゅん子君)

ただいま津田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕

全会一致と認めます。よって、津田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。ただいまの決議に対し、塩崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩崎厚生労働大臣。

○国務大臣(塩崎恭久君)

ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。

○委員長 、本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十五分散会


2016年3月22日

参議院厚生労働委員会


2016年03月22日

○川田龍平君 

 じゃ、質問に、通告の質問に入ります。

 沖縄における戦没者遺骨のDNA鑑定について伺います。これ、二〇〇三年から実施している戦没者遺骨のDNA鑑定について、二月十八日に引き続きこの質問をさせていただきます。

 政府は、このDNA鑑定の拡大について、来年度の早い時期からまず沖縄で実施するとされています。沖縄ではこの事業の成功が全体の成功につながっていくという観点から、以下集中的に質問させていただきます。

 二月十八日に、私がこの委員会で質疑し、全会一致で可決したこの遺骨収集の推進法案は、今週にも衆議院で可決、成立する見込みです。遺骨収集推進法案は、収集だけではなく、御遺族への引渡しまでが国の責任だということをしていることを前回の大臣の御答弁でも明らかにしていただきました。

 沖縄戦の場合、一般県民がこの戦闘に巻き込まれ、多くの多大な犠牲が出ています。この法案は、激戦地の沖縄においては民間人の戦没者も対象としていると理解してよろしいでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。

 厚生労働省としては、これまで戦地で戦闘に巻き込まれて亡くなった方を対象として遺骨収集に取り組んできておりまして、国内で一般人を巻き込みました戦闘が行われ、御遺骨が長年収容されずにいた唯一の場所であります沖縄につきましても、軍人、民間人の分け隔てなくというような遺骨収集を実施してきているところでございまして、今回、遺骨収集を推進するための遺骨収集推進法案が、を成立いたしました場合にも、沖縄で戦闘に巻き込まれた方につきましては対象となると、こういうことでございます。

○川田龍平君 これは沖縄県民の民間人の方も、この犠牲者の遺骨も国の責任で、遺族へ責任持って引き渡されるということですね。これは本当に沖縄県民にとっては大変喜ばしい答弁だったと思います。堀江審議官、ありがとうございます。

 是非これ、民間人の戦没者の遺族である沖縄県民にもDNA鑑定を呼びかけるべきではないかと考えますが、民間人戦没者にDNA鑑定を呼びかける場合、どのように行うつもりでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) DNA鑑定の対象拡大につきましては、御遺族が高齢化していること等を踏まえまして、国会での御議論や関係団体等からの要望も踏まえまして、戦後七十年を契機に議論を加速し、まずは部隊記録等が残っている、ある程度戦没者の特定ができる沖縄について実施する方向で検討してございます。沖縄において戦闘に巻き込まれました民間人も遺骨収容し、DNA鑑定により身元が特定できれば御遺族にお返しする対象となるものと考えてございます。

 DNA鑑定の呼びかけに当たりましては、遺留品や戦没者の名簿等が必要となるわけでございますが、沖縄県において民間人の戦没者に関する資料を作成、保管していることから、今後、県とも協力も得ながら、DNA鑑定を御遺族に呼びかけることについて検討してまいりたいと考えてございます。

○川田龍平君 これ来年度の早い時期に開始するということですが、大臣、これ通告していませんが、遅くともこれ今年度中には具体的な方針を示していただけますでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 方針作成に向けてしっかりやっていきたいというふうに思います

○川田龍平君 是非できるだけ早く取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございます。

 配付資料の一ページを御覧ください。これは現在国が保管している遺骨検体の一覧表です。このうち沖縄県で収集したものは八十七件あります。この遺骨検体とは具体的に何でしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) 遺骨検体につきましては歯でございます。

○川田龍平君 これは、つまり骨ではなく、頭蓋骨に付いていた歯のみなんですね。歯です。この八十七件の歯に付いている頭蓋骨は沖縄県内のどこの市町村で収集されたのか明らかにしていただけますでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) 先ほど来お答えしておりますDNA鑑定の対象拡大につきまして、二十八年度のできるだけ早い時期に、部隊記録が残っており、ある程度戦没者の特定ができる沖縄につきまして実施する方向で検討しております。

 実施に当たりましては、実施市町村名を明らかにした上で御遺族を呼びかけることとしておりまして、今後、準備が整い次第、公表させていただきたいと考えてございます。

○川田龍平君 これ、是非情報を明らかにしていただきたいと思います。

 沖縄戦遺族へのDNA鑑定参加の呼びかけを行うに当たり、この歯の検体八十七件がどこのガマ、村で出たものかという情報をまず明らかにする必要があります。これは、一覧表は既に存在するはずですが、なぜまだ公表できないのでしょうか。もう一度その理由を明確に答弁ください。

○政府参考人(堀江裕君) 先ほど大臣からもお答えございましたように、実施方法を決める検討会を早々に実施する方向でございまして、その際に市町村名も含めまして整理して、実施市町村についてまず公表して、実施して、呼びかけをしてまいりたいと思っております。

○川田龍平君 是非一日も早く検討会を開いて、公表していただきたいと思います。沖縄県民の皆さんは一日も早い公表を待ち望んでいます。遅くとも今月中には是非公表していただけますように準備を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 沖縄県では腕や足などの四肢骨を始めとする遺骨を消却せずに独自に保管をしています。これは、DNA鑑定の実施により、一人でも多くの遺族に遺骨をお返ししたいという県民の思いの結果であることは厚労省もこれ御存じのはずです。

 しかし、厚労省は歯のある頭蓋骨のみを個体性があるとしているようですが、身元が分かる遺留品がなく、かつ歯が付いている頭蓋骨を伴わない御遺骨はどのように取り扱うべきと考えているのでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) 厚労省といたしましては、戦禍により尊い命を犠牲にされました戦没者の御遺骨に礼意を持って向き合うことが大切と考えてございまして、極力御遺族の特定に努めるためDNA鑑定を実施し、戦没者の歯が比較的容易にDNA情報を抽出でき、安定的な結果が得られる旨の専門家の御意見を参考に実施してございます。

 その一方で、長年収容されず戦地に置かれた御遺骨につきましては、御遺骨の尊厳や御遺族の心情に鑑み、国として慰霊を行うため、必ずしもDNA鑑定につながらない部位で遺留品もない場合には、そのまま保管するのでなく、早期かつ丁重に火葬し、千鳥ケ淵戦没者墓苑等に納めることが最善というふうに考えてございます。

○川田龍平君 そうであっても、しかし、遺族の目線から考えれば、たとえ一本の腕の骨であっても、足の骨であっても、遺族にとってはそれが父であり、兄であるのです。母であるかもしれません。

 宮城県の女川湾で本年の一月二十日に見付かった大腿骨一本が、DNA鑑定の結果、大震災の犠牲者の遺骨と判明して御遺族に返還されています。ここにその新聞の記事もありますけれども、この遺族の方は、本当に骨、大腿骨一本が漁師さんの網に引っかかって漁師さんに発見されて、これが返ってきたときに、やっと帰ってきた、本当によかった、本当に骨一本返ってきたことが、帰ってきたねということにやはり遺族の方にはなるわけです。これを七十年間待ち望んでいる人たちがいるということなんです。本当にそのことをやはり是非厚労省の方には分かっていただきたいと思います。本当に小さな骨片、それ全てというのは無理かもしれませんけれども、でも、そういった骨をしっかりとやっぱり遺族に返していくということはすごく大事なことだと思います。とても大事なことだと思います。

 韓国では、朝鮮戦争の犠牲者のDNA鑑定を大腿骨などから行っていると聞いています。これ、二〇一三年以降、沖縄県が焼かずに保管している遺骨について、腕や足などの四肢の骨からDNAが採取できるかどうかの試験的な事業を沖縄において実施すべきではないでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、韓国の話が出ました。結論から言えば、やはりさっき審議官から説明を申し上げたように、今のところDNA鑑定は歯を用いて行うということが一番安定的だという理解で、理解というのは、それは科学者の考え方がそういうお考えで、我々はそれに従っているわけでありますから、今のような扱いになって、千鳥ケ淵に火葬の後に納めるということを今まではやってきているわけですね、分からない場合には。

 そういうことでありますけれども、今先生御指摘のように、御遺族から見れば、それはどこの部位であろうとも、一かけらでもやはり回収したいという思いは、全くこれはもう世界中同じだと思いますけれども、そのことはやっぱり深く理解をした上で、あとは科学としてそれが立証可能なのかどうかということを考え、そして、なおかつ御遺族の皆さん方のお心をおもんぱかりながらどうすべきかということを考えていくのかなというふうに思っておりまして、今すぐ歯以外でもDNA鑑定をやりますというほど今科学的な知見が集積は日本でされていないということなので、なお、韓国を含め、どのようなことが科学的に証明可能なのかということをよく考えてまいりたいというふうに思います。

○川田龍平君 そういったお気持ちを是非大事にしていただきたいと思います。県民の方たちもやっぱり本当に、先日もDNA鑑定の専門家による勉強会が院内集会で、議員会館で開かれました。そこでは、遺伝子情報の解析センターの山田代表という方がおっしゃっていましたけれども、七十年前の遺骨でも保存状態によってはDNA鑑定は可能だと明確におっしゃっておりました。

 今回のこのDNAの拡大方針というところでいきなりは無理としても、有識者の結論を金科玉条とせずに、科学の進歩というものもありますので、同じく半世紀以上前の遺骨からDNAを抽出している韓国のやり方も参考にしつつ、是非とも今後の技術の進展を踏まえて試験的に実施していただけないか、御検討をお願いいたします。

 それから、民間人の戦没者の遺骨を遺族への返還前にだびに付すことについて、沖縄県民の考え方について、厚労省としてはどのような見解をお持ちでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) 遺骨収集は、法案の中にも記載がございますように、いまだ収容されていない御遺骨を収容し、本邦に送還し、及び当該戦没者の御遺族に引き渡すことなどをいうというふうになっているということからいたしますと、先ほど来委員お話しのように、御遺族への返還前に焼骨を望まないような御希望もあるのだろうということは理解してございます。

 一方、これは先回の委員会でもお答え申し上げましたけれども、長年収容されず戦地に置かれ、ようやく収容された御遺骨について、早期かつ丁重に火葬して遺族にお返しする、それがかなわない場合には千鳥ケ淵戦没者墓苑等に納めることが戦没者の尊厳につながるとの考え方もあり、厚生労働省では、現時点でこれを基本に戦没者の特定に必ずしもつながらない部位について取り扱っているということでございまして、海外の戦地に遺骨収集帰還事業の派遣団を送っておりますけれども、現地の方で火葬の式典を行い、そこでもって遺族や戦友としての焼骨を行ってだびに付すということで一つの心の区切りを付けていただいているというのも現実でございまして、そうした御遺骨を千鳥ケ淵の引渡式の方で議員も含めましてお迎えいただいていると、こういう実情にございます。

○川田龍平君 私は、沖縄というのはまた特殊な地域だと思います。やはり、焼骨することだけがそういった遺族の方の思いに応えることではなくて、焼骨するということは旧陸軍の慣習に従って今も焼骨をして返すということをしているんだそうです。これはやっぱり、民間人の方の遺骨もそういっただびに付してから遺族に引き渡すということではなくて、これは本当に沖縄県民の気持ち、考えを、やっぱり理解を得られるのかということを、基本方針というものを決定する前に是非もう一度慎重に検討していただきたいと思います。

 この問題というのはまた引き続き行ってまいりますが、そういった沖縄県民の気持ちにやっぱり即してこういったことを是非やっていただきたいと思います。本当に、今のところはまだ八十七件しか保管していないわけですので、そんなにたくさんのことをやれということではないですので、是非これ慎重に、この方針を出す前に検討していただきたいと思います。



2016年5月19日

参議院厚生労働委員会


○川田龍平君 民進党・新緑風会の川田龍平です。よろしくお願いします。

 次に、戦没者の御遺骨のDNA鑑定について伺います。

 前回も取り上げたんですけれども、韓国について、これ大臣にも情報提供させていただきましたが、私が新たに聞いたところでは、DNAの抽出率が大腿骨が奥歯よりも三十五倍も高い値を示しているということで、DNA鑑定に使われた割合からすると、大腿骨の割合が五八%、上腕骨が一五・六%、向こうずねの骨が一五・二%で、奥歯についてはたったの三・二%しか使われていないということです。

 これ、アメリカと韓国がこの遺骨鑑定については世界的にも進んでおり、アメリカの技術を韓国が学んでいるらしいですけれども、韓国は技術提供をアメリカの方から受けていて、いずれも四肢骨からのDNA抽出というのが主流だそうです。これ、四肢骨からの、腕、足からのDNA鑑定で実績のある米韓両国と、歯でこれまでやってきた日本の、実績のある日本とで技術交流を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。

 日本では戦没者遺骨のDNA鑑定につきまして、戦没者の歯が比較的容易にDNA情報を抽出できることができ、安定的な結果が得られる旨の専門家の御意見を参考に歯を検体として実施しているところでございます。

 しかし、本年四月に施行されました戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の第九条におきまして、「国は、戦没者の遺骨収集により収容された遺骨について、当該遺骨に係る戦没者の特定を進めるため、遺骨の鑑定及び遺留品の分析に関する体制の整備及び研究の推進その他の必要な措置を講ずるもの」というふうに規定されておりますこと、また、議員の御指摘に対しまして、先日大臣からも、韓国を含め、どのようなことが科学的に証明可能なのかということをよく考えてまいりたいという御答弁を申し上げたことも踏まえまして、まずは、米国や韓国での取組等について、当方から出向きまして情報収集させていただくということを検討してございまして、米韓の、特に軍だと思うんですが、研究施設等に今調整を行っていると、こういうことでございます。

○川田龍平君 是非やっていただきたいと思います。

 この戦没者遺骨収集推進法に基づく基本計画が今月末の閣議決定を目指して準備中と聞いております。前回の質疑でも確認をさせていただきましたが、この法律は、当該戦没者の遺族に引き渡すことまでがその目的です。遺族の目線に立って、やっぱり国の責務として遺骨収集推進法の第六条にあるこの研究を進めていただいて、沖縄県が保管している今六百あるこの四肢骨の鑑定を是非実現をしていただきたいと思います。

 鑑定技術の急速な進歩を踏まえて、太平洋地域についても、歯のない遺骨であっても当面は四肢骨を焼かないで持ち帰る方針に転換すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) 再々お答え申し上げているところでございますけれども、厚生労働省といたしましては、収容された御遺骨について、可能な限り御遺骨を御遺族の元にお返しすべきという要請と、長年外地なり戦場で収容されずに置かれてきた御遺骨を早期かつ丁重に焼骨して慰霊すべきという要請の両方の要請に応える必要があるというふうに考えてございまして、必ずしも身元特定につながる可能性が高くない部位につきまして、御遺骨の尊厳や御遺族の心情に鑑みまして、国として慰霊を行うため、そのまま保管するのではなく、早期かつ丁重に火葬し、千鳥ケ淵戦没者墓苑等に納めることとしてございます。

 ただ、その戦没者遺骨収集推進法の先ほど申し上げました遺骨の鑑定についての条文の規定も踏まえまして、まずは、先ほどお答え申し上げましたけれども、米国や韓国の取組等につきまして情報収集等を行うこととしておりまして、今後の取組にどのように生かすことができるか、研究、検討を進めていきたいと考えてございます。

○川田龍平君 骨は取っておいていただけるんでしょうか。

○政府参考人(堀江裕君) 研究、進めた上で有意義な結論が得られたらば、それに基づいて対応することになると思います。

○川田龍平君 その研究、いつ終わるのかということもありますので、取りあえず当面の間、これは取っておいていただけないでしょうか。やっぱり、焼いちゃったら、これもう使えないわけですね。見付かった骨を取りあえず取っておくということはできることだと思いますので、是非、歯だけじゃなくて、ちゃんと骨を取っておいていただきたいと思います。

 やっぱり、これは遺族の気持ちに立ったら、まだ生きているんじゃないかと思う思いだってあるわけですよ、鑑定で結果が出てこなければ。やっぱり、そういう遺族の気持ちに本当に立っていただきたい。そこで国としての責務というのが、やっぱり果たされるべきものがあるんじゃないかと思いますので、本当に今できることをやっていただきたいと思いますので、取っておくということもこれ必要なことだと思いますので、是非よろしくお願いします。

 先週の金曜日に、これ、今国会のC法案である臨床研究法案、臨床研究適正化法案という名前が変わって臨床研究法案が閣議決定をようやくされまして、本当におかげさまで衆議院に提出をされました。

 これは、薬害をなくすために被験者の保護法を作るということは、私が当選以来、ずっと勉強会も重ねて、ずっと作っていただきたいと思っていた法律ですので、作りたいと思ってきた法律ですので、これ大変時間が掛かりましたが、ここに至る政府の努力に対しては本当に敬意を表すものです。ありがとうございます。


2016年11月8日

参議院厚生労働委員会


○川田龍平君 民進党・新緑風会の川田龍平です。今日は会派を代表して質問に立たせていただきます。

 まず、質問に立たせていただけることを皆様に感謝申し上げます。引き続き、今後、厚生労働委員会で頑張らせていただきますので、お世話になりますが、よろしくお願いいたします。

 シベリア抑留死DNA鑑定用検体の歯を誤焼却した件について伺います。

 これは、十月二十八日に起きましたロシアのハバロフスク地方で収集したシベリア抑留死亡者の御遺骨六十一柱分の歯を、この歯をですね、DNA鑑定用検体の歯を誤って焼却してしまったということが判明しました。これでこの六十一柱の遺骨は永遠に家族の元に帰宅できなくなってしまいました。

 戦没者遺骨収集推進法というのが施行されたまさにこの年にこのような事件が起こってしまったこと、大変遺憾に思いますし、あってはならないことだと思います。これは猛省を促し、二度とこのようなことがないように再発防止を強く求めたいと思いますが、大臣、一言お願いいたします。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘をいただきましたように、シベリア抑留者の件でございますが、ロシアのハバロフスク地方における遺骨収集作業を行っておりましたが、その際にDNA鑑定に必要な検体であります歯を、今御指摘のとおり、焼失をするという、あってはならない事態が起きてしまいました。

 御遺族を始めとする関係者の皆様方に本当に申し訳ない限りであって、心からおわびを申し上げたいと思います。関係する御遺族に対しましては、可能な限り、厚労省として直接訪問をさせていただいておわびを申し上げたいというふうに考えております。

 今後、二度とこのような事態が生じないように、今回の事案の発生原因を徹底究明をして責任の所在をまず明らかにすると、そして担当部局内にワーキングチームを設置をいたしまして、遺骨収集の手順書、これを抜本的に見直して、御遺骨や検体の管理、安全管理など、作業の具体的な手順を定め直すということをやらなきゃいけないと思っております。同時に、厚労省、そしてこれから指定法人の職員の方にも現地に行っていただくことになりますので、これら職員に対します新たな手順書の習得を含めた研修を徹底するということだと思います。そして、今回もそうでありましたが、やっぱり現地作業員の皆さんにもしっかりと理解をしてもらう、作業の意味を理解をしてもらうと、こういうためのマニュアルの作成を検討しておりまして、確実な再発防止に向けて取り組んでまいりたいと思います。

○川田龍平君 これは、私はこの収集した御遺骨の歯以外からのDNA鑑定というものを求めてまいりましたが、今回の御遺骨についても歯以外の御遺骨からDNAの抽出を試みてはいかがかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 基本的な作業手順として、歯がない御遺骨の場合には大腿骨を別途取ってDNA鑑定ができないかどうかということをやっています。したがって、そういうケースの場合は大丈夫ですが、今回、歯のある方につきましては御遺骨を焼いておりますので、これについてはなかなか難しいということだと思います。

○川田龍平君 是非、韓国では大腿骨でDNAを採取して鑑定をするということもやっていると聞いておりますし、先ほどありましたように歯のない場合にはそれを取っているということもありますので、是非、大腿骨でもできるように、ほかの部分でもできるようにということを是非進めていただきたいと思います。

 本当にこれは、遺族の方も高齢になっていて、本当に毎年毎年、一年過ぎていくごとに遺族の元にお返しするということができなくなってしまうということになってしまいますので、是非一日も早くこういった問題は解決をしていただきたいと思っています。

 特に、シベリア地方は、季節によっては雪の下にうずもれてしまって作業ができないとも聞いています。そういう意味では、一年間に限られた日数しかこの遺骨収集というのができないということもあって、現地のロシア人の作業者の人たちに手伝ってもらわなければいけないという状況にある。それから、ほかの南方地域もそうですけれども、一日も早くやっぱりこの収集作業を進めなきゃいけないということで、これは厚労省だけの管轄でやっていたのでは間に合わないのではないかという遺族の方の声もあります。実は、自衛隊の方の協力を得たりですとか、これは内閣官房の話になるかもしれませんけれども、他省庁とも協力して、是非、外務省とも協力していただいて、こういった遺骨収集を進めるという作業を是非、厚労省、率先してやっていただきますように、抜本的に見直しをしていただきますようによろしくお願いいたします。



2017年3月27日

参議院予算委員会


○白眞勲君 それでは、戦没者の御遺骨のDNA鑑定についてお聞きしたいというふうに思います。昨年末に安倍総理はハワイを訪問されましたけれども、そこで、アメリカ国防総省捕虜・行方不明者調査局、DPAAってやつですね、を訪問されたようですけれども、そこでの感想をお聞かせください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨年十二月に米国のオバマ前大統領とともにハワイの真珠湾を訪問した際、米国防省捕虜......(発言する者あり)はい、済みません。

○委員長(山本一太君) 総理、不規則発言には答える必要ありません。答弁続けてください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) はい。DPAAの中央身元鑑定研究所を訪問しました。研究所内に保管されている御遺骨や遺骨鑑定作業を視察させていただくとともに、相手国の戦没者の御遺骨が発見された場合の情報提供や御遺骨の引渡しなど、既に日米両国間で構築されている協力関係の実態について御説明をいただきました。戦没者の方々に対して尊崇の念を持ち、御遺骨の帰還に向けて全力を挙げていくという気持ち、姿勢は両国では変わりないということを改めて実感したところであります。日米間の協力を今後更に前に進めてまいりたいと、このように思います。

○白眞勲君 いわゆるこのDPAAという組織は、アメリカの兵隊さんの遺骨を発掘して持ち帰って鑑定し、遺族の元へ引き渡す任務をしているわけですけれども、日本での現状について、塩崎大臣、お答えください。

○国務大臣(塩崎恭君) 日本の現状というのは恐らくDNA鑑定のことをおっしゃっているんだろうと思いますが、まず第一に、米国と日本の違いを申し上げますと、米国では、我が国と異なりまして、第二次世界大戦当時から兵士の身体に関する記録とか診療録、診療の記録ですね、これを残しているために、そもそも個人の確認がしやすいというのが米国の状況でございました。そのために、歯以外のより広い部位、つまり骨ということでありますが、それをDNA鑑定に米国では使ってまいっているわけでございますが、日本の

場合には、基本的には歯を中心にDNA鑑定をやってまいりました。ただ、歯が得られないという場合には、他の、大腿骨であったり、比較的大きい骨は持ち帰って、それをDNA鑑定するときもあるということで、基本的には歯を中心にDNA鑑定をやってきたということでございます。

○白眞勲君 いや、そうなんですね。つまり、歯だけじゃなくて、いわゆるほかの骨でも、これもうアメリカではやっているわけですから、その辺のノウハウがあるんですから。これは韓国でもやはりそうでして、焼骨はしないで、きちんと保存し鑑定をしているわけなんですね。ですから、安倍総理、お願いしたいのは、日本もアメリカや韓国のようにしっかりとした組織をつくって、こういったものに対して、歯が残っていない遺骨も含めて鑑定をする作業を加速化すべきだというふうに思うんですね。前回の私への答弁でも、最新の知見も活用しながらと総理おっしゃっていますので、どうでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 厚労大臣から答弁したとおりなんですが、今まで御遺族の中には焼骨を終えてという御希望があったものでありますから、そういうことで、歯は持って帰って、骨は焼骨をしている。焼骨をしますとDNA鑑定には適さないということもあったんですが、そこで、そういう最近の対応としては、一部焼骨しつつ、骨は一部必要とあればお持ち帰りをしてですね、ということも含めて、厚生労働大臣がDNA鑑定の今後の在り方について判断すると、このように承知をしております。

○国務大臣(塩崎恭君) 基本的に総理の御指示を得て、私どもとしても、環境は米国とは少し異なるわけではありますけれども、埋葬地情報などによってある程度戦没者が特定できるという、そういう場合もあるわけであります。したがって、DNA鑑定の対象を歯だけではなくて大腿骨等の四肢骨、これに拡大をすることによって、戦没者の御遺族に御遺骨を返すことができるようになる可能性が高まるだろうというふうにも私ども考えるに至ったところでございまして、このため、今月三十日に戦没者遺骨のDNA鑑定人会議というのが開催をされる予定でございます。その場において専門家の御意見をいただいて、その上で判断することではございますけれども、私どもとしてはDNA鑑定を四肢骨へ拡大する方向で判断をしてまいりたいというふうに考えております。

○白眞勲君 もう是非どんどんやっていただきたいなというふうに思うんですね。そういう中で、今回、安倍総理一行はハワイに到着すると、まずアメリカ軍人が埋葬されている国立太平洋記念墓地を訪問されていますけれども、稲田大臣にお聞きいたします。どんな思いで参拝されましたか。

○国務大臣(稲田朋美君) 今回、総理とともにハワイを訪問いたしまして、この訪問で、やはり二度と戦争の惨禍を繰り返してはいけないとの未来に向けた決意を新たにするとともに、かつて敵国として最も熾烈に戦ったこの日米が今は世界で最も緊密な同盟国にあるということ、そして、両国のために命をささげられた方々に感謝、敬意、そして追悼の思いでハワイを訪問したところでございます。







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